実験背景

 
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実験背景

研究プロセス

1917年12月10日 - Memo from Dr.A, to Dr.G.

こんにちは。G。あなたにメモを残すのもかなり久しぶりね。
あなた、産休でかなり長く休んだもんね。赤ちゃんがご主人ではなくあなた似の可愛い子でホッとしました。

とにかく、あなたが休んでいた4年の間、驚くほど研究に進歩があったのよ。
あなたにもっと早く知らせたかったけど、研究所外への情報の持ち出しは原則禁止じゃない。たとえ元仲間であってもね。
私たちは卵子と精子の受精課程で遺伝子に操作を加え、回復力が一般人の数百倍も速い体を持つ人間を作ることに成功したの。

そしてさらに凄いところは、細胞がどれだけ分裂してもテロメアの長さは一定水準から変わらないこと!
つまり、理論的にはこの人体は永遠に生きることができると言うことね。
でも、生成された細胞をコントロールする能力が足りなくてね、癌細胞が生じないようにするためにはもう少し研究が必要だと思うわ。

やはりマウスで実験するのと人間を対象に実験するのとは、天と地ほどの差があるような気がする。

戦時中だから物資の補給は難しいけど人体をたくさん入手できるのは幸運だと思う。
あなたも知ってるでしょうけど、うちの組織って何百年も前から研究をしてきたけど今ほど支援と投資が充実した環境のもとで研究をしたことはなかったじゃない。

具体的な研究の進捗状況は所長から聞けると思う。私からの情報は食欲そそるアペタイザーだと思って。

あなたとまた一緒に働けるなんて夢みたい。ラボでまた会いましょう!

1928年4月2日 - Record by Dr.K

1917年以来、遺伝子操作を加えた子供たちの中から6人が不老不死の肉体を得ることに成功したようだ。

彼らの細胞は非常に安定した状態で、個体の差はあるが、一般人の数百倍にも達する回復力を見せている。

1928年6月7日 - Record by Dr.K

不老不死の肉体を持った実験体の中の一人が拳銃自殺を図った。

バラバラになった肉体をつなぎ合わせ、組織が回復するのを待ったが、組織が回復した後も元通りには戻らなかった。

緊急会議の後、この実験体の肉体を、研究結果を他の実験体に適用する前の、試験用に使おうという案が出た。
他の実験体には該当実験体は死亡したと伝えた。そして該当実験体を地下バンカーの一番奥に拘束監禁した。

同じ事故を防ぐため、実験体が監禁されている実験棟には銃を所持したままでは進入できないようにした。

1928年6月22日 - Record by Dr.K

脳が損傷された場合、組織が回復しても精神異常が生じる問題の他、
臓器が完全に除去された場合は該当臓器の再生は起こらないことを確認した。

これに加えて、窒息・病気・焼身などは克服できなかった。
単なる高い回復力、不老の体を持つだけではなく ” 記憶の連続性 ” と ” 健康な体 ” を持って生きることができる肉体を開発することに専念している。

1932年5月17日 - Record by Dr.V

どうにも研究が順調にいかない。
戦争が終わってからスポンサーからの投資が途切れたのみならず、実験体として使う人間を用意することも難しくなった。

幸いなことに、数人の熱心な研究員が、自分の子供を実験対象として使用することを決めた。
研究がかなり安定期に入った様子を見たからこそ可能だった選択だと思われる。

研究所の予算削減にあたり、研究過程の中で細胞の暴走が起きたり、再生速度が一般人と同レベルだった実験体158人をすべて廃棄処分にした。

この場を借りて彼らの犠牲に感謝の意を表する。
彼らの犠牲が無駄にならないよう、これからの研究や実験に総力を傾けていく。


ルミア島

1939年9月1日 - Record by Dr.R

再び戦争が始まるようで、研究所を安全な場所へと移すことにした。

元々は誰にも見つからないような場所にひっそりと新しい研究所を建てる予定だったが、
建築資材を運ぶ過程で情報が漏れかねないし、人里離れたところにぽつんと建っている研究所は軍事基地やその関連研究所だと疑われる恐れがあるので、小さな島に「地殻研究所」として建てることにした。

人里離れた島なので外部と断絶されており、襲撃の危険もなく、万が一の事態が起きた場合の対処と収拾がしやすい場所である。

1978年11月12日 - Memo by Dr.P

実験にはこれと言った進捗がない。
ナノテクノロジーという新しい変数が入ってから、記憶をそのまま転送できるかと希望を持ったのも束の間、脳はそんなに単純な器官ではなかった。

まあ私のような新入研究員は先輩の実験過程を横から見て書き取るぐらいしかできないけれど...
とにかくもう3年近く、何の成果もなかったから、先輩のヒステリーは極限に達した。
余計な火の粉が降りかかるのを避けるため、そんな時は研究所を出て島を散歩する。

いつ見ても平和なところだ。
最近は若い人たちがみんな内地へ出て行き、人口が急に減ってしまったけど、お年寄りは皆優しい。

この前は山で採ったと言ってキノコをもらった。
若者が私たちだけだから、些細なことでも面倒を見てやりたいんだろうな。

故郷にいる爺ちゃんを思い出して少し泣いた。家族に会いたい。
電話もできないし、手紙も時々しか出せない。胸が苦しくてたまらない。

母の顔も忘れてしまいそうで、家族に写真を頼んだ。
私もそれなりに将来を嘱望された人材だったのに、先輩の顔色を窺いながら生きているこの有り様を見たら母さんはどう思うだろう...

まあ、こんなことを考えながらずっと海岸線に沿って散歩していくと、あっという間に島を一回りする。
島を一周するには一時間くらいかかる。
海の向こうは深い霧がかかっていて、水平線をきちんと見た記憶がない。いつも天気がうっとうしいから...

気温の年較差が少なくて、寒さと暑さに弱い私には幸いだけど、いつも天気がうっとうしいところは気に入らない。
雨もちょっと生温くて気持ち悪いし...

あ、そういえば今日雨が降るそうだ。傘ないのに…! 早く戻ろう。
ああ、なんで研究所を丘の上に建てたんだろう。下りるのはいいけど上がるのはとても苦手だ。
車とか通りかかったら乗せてもらう。


アグライアの誕生

1993年8月5日 - Record by Dr.R

アンジェリカが新しい研究所長として就任した。
彼女は10代半ばの少女のような外見なので、公の場ではオーランドが表に出ることになった。

彼女の両親がこの研究を率いてきた先代の研究者というだけではなく、
彼女自身も生物学分野で優れた成果を上げた研究者なので、私たちの研究に対する理解や知識、能力は疑う余地がない。

1993年8月5日 - Memo by Dr.O

おかしなことだ。彼女が研究所長になると自ら申し出るなんて...
14年前、前研究所長が殺された時にもDr.Aは絶対この研究を引き継ぐつもりはないと言ったはず...

彼女は不死の肉体を作り出すこと以上のことを目指しているようだ。

1999年10月25日 - Record by Dr.R

「あの会談」の後、アンジェリカは我らの名前を「アグライア」と名付けた。

今まで極秘にされてきた研究成果の一部を公開したことにより、超国家的権力、財力を持っている投資家を引き入れることに成功した。
実験はさらに加速されるであろう。

...しかし、私たちの研究が公開された以上、明らかに私たちの考えに反対する勢力が生まれるだろう。
彼らに対抗するための準備が必要だ。


実験集団「 アグライア(AGLAIA)」

1999年10月27日 - Memo from: Orlando, to: Angelika

アンジェリカ。俺は君の考えに同意できない。
それは君の言うとおり、俺が死すべき者だからだろうか。

だとしたらそれは俺の存在論的限界であろうし、不滅の者である君には多分俺の恐怖は理解できないであろう。

俺らは一生お互いを理解できない。済まない、アンジェリカ。これが俺らの限界なのかもしれない。

1999年12月31日 - Memo by Angelika

我らの途に光あらんことを。


Ms.Angelika(1935~)


一次実験・二次実験

2001年9月1日 - Announcement

住民の皆様へお知らせ致します。
私たちKEFF研究所がルミア島の地殻信号を推定、観測を始めた時から、早くも60年が過ぎました。

しかし最近、ここ60年間で観測されたことのない形の地殻信号が観測されています。

単刀直入に言いますと、ルミア島周辺の海底火山が再び活動する兆候を見せています。
海底噴火が起こった場合、地殻変動や地震が起こる可能性があり、最悪の場合 爆発によって島の一部が失われる恐れがあります。

政府にもこの危険性は報告したところであり、できるだけ近いうちに住民の皆様に移住命令が出る予定です。

慣れ親しんだ故郷を後にする皆様には、とても辛い決断となると思われますが、
非常に深刻な状況のため、ご協力をお願いいたします。

ありがとうございます。

2006年5月11日 - Record

一次実験開始前、島全体に放送設備とCCTVを設置し、この島から外部に連絡できるすべての手段を排除した。

あの会談で説得に応じた投資家たちの助けにより、
すべての船や飛行機の接近を禁じ、衛星写真にも島が補足されないように措置が講じられた。

もはやルミア島はごく限られた人々だけが知る島となった。すべての準備は整った。

2010年2月23日 - Record

二次実験に向けての島の整備を完了した。
一次実験とは違って禁止区域という新しいシステムが追加され、いろいろ整備するところが増えた。

実験が終わった後の補償みたいな長期的目標より、決まったサイクルの間を生き残るという短期的目標を与え続けることが、
より実験体の生存の動機を増大させるようだ。

また、禁止区域が指定され、実験のペースが調整できるようになったので、
余計なことを考えないようにさせることもできると期待される。

研究員は2日に1回、禁止区域を設定し、禁止区域の数は状況によって流動的に調整する。

そして、禁止区域が設定される24時間前にそれを予告し、
実験体たちの身体に反応する特殊物質を使って、禁止区域内にいる実験体を滅却する。

この時、腕輪が守っていたARCH細胞は影響を受けず、
のちに腕輪を回収して、滅却された身体を再び生成し、記憶をバックアップする。

これで一次実験の後半に見られた無秩序な状態を含め、実験体たちから見られた無気力や精神異常などを解決できると思われる。
徐々に欠点を補完して、より精巧なシステムに作り上げていく予定だ。

研究所でも実験体たちの身体に直接危害を加えることができるシステムが追加されれば、
確実に管理の質が向上すると予測される。記憶消去と併用すれば、なおさらだ。

2014年11月2日 - Memo from: Dr.P, to: Mnt. team

もっときちんと整備してください。
スピーカーがいくつか壊れたまま始まってしまって、あっけなく死んでしまったんですよ。
ああ、研究所の人たちと賭けていたのに! まさか禁止区域で死ぬなんて!

それに補給品の配置ももっと丁寧にしてくださいよ。
面倒くさいからって一ヶ所に全部詰め込まずに! そして手紙! もっと気を付けて扱ってください!
中にあったものが割れたりしたのが一度や二度ではないんですよ。
この島では家族たちと手紙をやりとりするのが唯一の楽しみなのに、こんな手紙を受け取る私の気持ち、分かります?

お詫びに、今度来る時にはお酒をこっそり持ってきてください。
この胸の痛みはお酒で洗い流すしかないです。

2015年1月30日 - Memo by. Dr.A

実験は楽しいけれど、いつも後始末が問題だ。
実験体同士のサバイバルが終わったら、最後の生存者を隔離空間に隔離し、あっちこっち散らかっている体を処理し、
実験体たちを再生させ、記憶をバックアップして、異常がないかどうか検査してデータを記録して。
ああ、本当に面倒くさい作業だ。

さらに、実験に何の結果も進展もなかったら…それ以上辛い作業はない。
次の交代日までどのぐらい残っているか一日一日カレンダーをチェックしながら待つだけだ。

実際のところ私は、優れた仲間たち、最先端の機器、莫大な支援のもとで新しい研究を続けられるなら、
新人類も何も知ったことじゃない。真理とやらに近づいて行く過程が好きでここに入っただけなのに。
アグライアは現存している生命科学技術の最先端を歩いて行く集団だから。

そもそもアンジェリカさんが所長になる前は、私たちはただ人類の「限界」を試すことに興味を持っていた集団だったんじゃないか?
まあ、研究所長の価値観に惚れ込んで入ったと言う連中もいるが、そんな狂信者みたいなやつらとは関わりたくない。


再生の原理

2015年2月2日 - Memo from: Dr.T, to Dr.N

こんにちは、新人さん。ルミア島にようこそ。
僕のコードネームはTaddy。気楽にDr.Tと呼んでくれ。君の名前は... Nadjaだったかな。
違ってたらすまない。正直、それどころじゃなくて。君のプロフィールを詳しく見ていないんだ。
まあ、ここに来るぐらいだから、何にしろ役に立つ人材だろう。

ここに来る前に実験体の身体関連資料は見たかな?
それでもまあ、大切なことだからもう1回簡単に説明してあげよう。

それらの体は一定の状態に固定されている。
そう。その実験体たちの驚くべき回復力は、実は回復と言うより元の状態へ戻ると言う方が正しい。

肉体が各部位の細胞の構造に関する情報を蓄積しているからね。
つまり、細胞の構造が変わって傷跡となることはないと言うことだ。

だから、島に来る前の傷跡は一生残るが、その後できた傷跡は身体が再構成される時に消えるのさ。

たまにこの情報を蓄積している生体高分子が壊れる場合があるけど、周りの酵素により復元されるから心配はいらない。

でも、酵素に何かの問題があったら…それはちょっと大変だ。
その場合は、僕か他の先輩研究員を呼べ。君の手に負えることじゃないから。

こんな再生ができる理由は実験体の腕輪の下にある特殊な内分泌腺細胞集合体のおかげさ。
A細胞、R細胞、C細胞、H細胞で構成されていて、僕達はこれをARCHと呼んでいる。

ARCH細胞が無ければ細胞の移動と分裂は行われなくて一般人並の回復力さえ持たない。

A細胞は全身の7~8%を占めている。
傷の周りの細胞を逆分化させて幹細胞に変えるホルモンを生成する役割を担うのがこのA細胞だ。

そしてR細胞は全体の70~85%を占めていて、
細胞が失われると、すぐ傷ついた細胞の複製を誘導するホルモンを生成する。

C細胞は3~5%を占めているけど、最も重要な細胞の一つだ。
A、R、H細胞のホルモン分泌調整を担当する。C細胞がちゃんと機能しないと、細胞は暴走してしまう。

最後に、H細胞は全体の15~20%を占めていて、傷ついた部位に核を作る役割をするホルモンを生成する。

傷を負ったら、通常はH細胞によって損傷された部位の修復が行われるが、
その部位の細胞が全く残っていなくて修復が不可能な場合はA細胞が働いて、また該当部位の細胞を再生する仕組みだ。

刺し傷・銃創などで体の一部が損傷されると、その部分に核を作り、その部位の細胞分裂が早く起きるようにする。

また、目玉が抜かれたり、器官が丸ごと除去されたりした場合は周りの細胞が幹細胞に逆分化して、
再びその臓器を構成する細胞を作って細胞分裂させたり...

まあ...簡単に説明しようと言ったのに、深入りしすぎてしまったようだね。
書庫のほうに関連資料があるから本格的に業務に取り掛かる前に見ておいてくれ。

とにかく、実験体の体についての話をもうちょっとしてみると...
構造的視点から見ると、全身がバラバラになっても彼らにとっては肌に傷がついたぐらいにすぎない。

ただ、その傷を治療するまで脳が生きているか、回復するエネルギーが残っているかとかが問題となる。
脳に問題があると判断されたら、すぐ再生機能が停止されるように設計されているから。

その、以前に暴走した実験体の話は知っているだろう?
殺しても殺しても生き返って、制御不能だったそうだ。再生もいいけど、ある程度の制御は必要だと学んだわけ。

そして実験体は眠りに落ちると滅多なことでは覚めないように設計されている。
精神的にも身体的にも弛緩状態のとき、再生力が最大化されるからな。
その代わりに彼らは2~3時間の睡眠で十分な休息を取ることができる。短時間で多くのエネルギーを充電できるように作られたと言うか...

体のエネルギーはすなわち再生力だからさ、早い再生のためには多くのエネルギー摂取と休息が必要なんだよ。

そして、筋力や持久力、敏捷性などは、一般の人々をはるかに上回ることは知っているよね?
細胞の段階からもう違うから。壁を壊したり木を抜いたりしても驚かないで。それが彼らの普通だ。

それから、実験体の細胞は、それらが元の構造通りに戻ることができないと判断されたら、自ら分裂を停止する。
傷に異物が割り込んだ場合、この性質のためにちゃんと再生ができない。

傷をきれいに応急処置したり、切ったりすれば元の状態に戻れる。

足を切ったり体の一部を欠損して狭い空間に閉じ込めると、この性質のため再生は止まってしまう。
これは細胞や酵素の異常じゃないから心配しなくて良い。

まあ、僕から教えてあげられることはこのぐらいだね。
実験体に着けられている腕輪と身体に注入されているナノロボットのような技術的な部分は僕もよく知らない。
僕の分野でもないのに口出ししてDr.Sにお小言を言われたくないし。

この部分が気になったらDr.Sに直接聞いてくれ。
その代わり、一旦話し始めたらしばらくは解放してもらえないだろうから、それは覚悟しておいて。

それじゃ、後はよろしく。ラボで再び会おう。


腕輪、ナノロボット

2015年2月4日 - Memo from: Dr.S. to Dr.N

本当に信じられない。腕輪とナノロボットに興味を持っている研究員がいるなんて。
それもDr.Tの後任だって? まあ、あの人は再生関連実験以外には全く興味がないからな…
一次実験が何のせいで潰れたか知らないわけでもないだろうにあのアホ...。

あ、君は知らなかったっけ?
一次実験はさ、実験体を制御できる手段がちゃんと準備されてなかったんだよ。

あいつら、手術台上の人間しか相手にしたことがなかったみたいだからな。
自由にほっとけば思い通りに動いてくれると思ってたんだろうな。本当、間抜けな奴らさ...。

腕輪は実験体の体の一部だとも言える。
実験体の状態を知らせてくれるし、位置情報の追跡やナノロボットから送る脳波データを受信して保存する役割もある。
このデータを元に記憶のバックアップが行われる。

ちなみに、腕輪のネジを外して結合を解除する場合、脳に刺激を与えて強制的にシャットダウンされるようになっている。
衝撃でたまに精神がおかしくなる実験体がいるけど、その場合はそのままきれいにリセットすればいい。

手に余ると思うときは内地の精神医学研究員Dr.Yを呼びなさい。
専門分野でもないのに下手に手を出さないように。

ナノロボットは実験体の脳の中にある。
このロボットは感覚神経から脳が受けた刺激を感知し、腕輪に転送する役割を担う。

そして記憶を復元する時、決まったデータ通りに脳に刺激を与えて、神経回路網を構築することを助ける役割もある。
記憶を管理する部品と言うか、半分サイボーグだ。

この技術を使えば時間が経っても色褪せない記憶を持つことはもちろん、悪い記憶だけを選択的に消してしまうなどの応用も可能になる。

参考までに言うと、一次実験の時は実験体の脳をいつも一番最後に入力された記憶データでバックアップされるように設計してたんだ。

それは大きな間違いだった。
島に入って経験したすべてのことが、ついさっきまで経験したかのように鮮明に思い浮かべられるだろうから...。
知ってはならない情報に触れた時も、研究から除外すること以外にはどうやら手の打ちようがなかった。

一次実験対象だった人には言葉に気を付けた方がいいよ。
彼らは何百年過ぎても君が言ったことを絶対に忘れないから。

あ、君は二次実験に参加してるのにどうやって一次実験体たちに会えるのかと思ってるだろう?
意外に君の周りにもいるよ。Dr.Wと言うちょっと陰気な研究員。あの人が一次出身だよ。もちろん研究員ではなく実験体。

一次実験の時、気が触れてしまって発狂している映像ファイルがあるけど、
うーんと...06M-RF01よりもっと悪かったかも...。実験が終わってからもしばらくの間...。

あの時の影響からか、今も目つきが恐ろしいよ。
1回理性を失うと、自分を見失うという噂もあるし...君も近づかない方がいいよ。

まあ、とにかく脳の中のナノロボットのおかげで記憶力はなにしろいいから補助研究員としては使えるけど。

うーんと...Dr.Tの陰口から始まってDr.Wの陰口で終わっちゃったね。
あの二人には秘密だよ。このメモも読み終わったら焼き捨てて。


実験体たちに装着された腕輪






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